大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和44年(ネ)487号 判決

主文

1  原判決中控訴人黒川隆に関する部分を次のように変更する。

(一)  控訴人黒川隆は被控訴人に対し金六一万一六〇〇円及びこれに対する昭和四二年八月二五日から支払ずみまで年六分の金員を支払うべし。

(二)  被控訴人の控訴人黒川隆に対するその余の請求を棄却する。

2  控訴人飯田邦生の本件控訴を棄却する。

3  訴訟費用は第一、二審を通じこれを四分し、その三を控訴人黒川隆の負担とし、その余を控訴人飯田邦生の負担とする。

4  この判決の第一項の(一)は被控訴人において金二〇万円の担保を供するときは仮りに執行することができる。

事実

控訴代理人は、「原判決を取消す。被控訴人の控訴人らに対する請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張及び証拠の関係は、次に附加訂正するのほか原判決事実摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。

(被控訴人の主張)

一  控訴人黒川は昭和四一年九月二〇日頃被控訴人に対し原判決添附物件目録(一)ないし(四)の土地所有権、(一)の土地賃借権並びに(三)の土地上の建物賃借権及び(四)の土地上の建物の賃借権譲受について仲介を依頼するに当りその報酬として取引額の三パーセントを支払う旨約した。

二  控訴人黒川は昭和四二年二月二四日控訴人飯田から右(一)ないし(三)の土地を代金一四二一万九〇〇〇円で買受けたものである(原判決三枚目表九行目及び四枚目表五行目に「金一四〇〇万円」とあり、同五枚目表六行目に「金一四二九万円」とあるのは、いずれも「金一四二一万九〇〇〇円」の誤であるから、これをすべて「金一四二一万九〇〇〇円」と訂正する。)。

三  控訴人飯田は昭和四一年一一月二八日頃被控訴人に対しその共有者の持分権の分をも含め本件(一)ないし(四)の土地所有権の売買仲介の報酬として金三五万円を支払う旨約したものであるところ、(一)ないし(三)の土地の売買は控訴人の仲介によつて成立したが、(四)の土地の売買は被控訴人の仲介によらないで成立したものであるから、金三五万円から(四)の土地に相当する報酬を面積比で差引くと金二八万円となるので、控訴人飯田が被控訴人に支払うべき報酬の額は金二八万円である。

四  仮りに、控訴人黒川と控訴人飯田の間の本件(一)ないし(三)の土地売買契約が被控訴人の仲介によらないで成立したものであるとしても、控訴人黒川及び控訴人飯田はいずれも被控訴人に対し本件(一)ないし(四)の土地売買の仲介を依頼し、売買契約の成立を停止条件として報酬の支払を約したものであるが、控訴人黒川及び控訴人飯田は売買契成立の間際になつて被控訴人に対する報酬金支払を免れようとして故意に被控訴人を排除し、昭和四二年二月二四日直接に当事者間で本件(一)ないし(三)の土地売買契約を成立させたものであるから、民法第一三〇条に従い故意に条件の成就を妨害したものとして被控訴人に対し約定の報酬を支払う義務を負うものといわなければならない。

五  よつて、被控訴人は仲介報酬として控訴人飯田に対しては金二八万円、控訴人黒川に対しては、(1) 本件(一)ないし(三)の土地の買受代金一四二一万九〇〇〇円に対する約定の割合による金四二万六五七〇円、(2) 右(一)及び(二)の土地賃借権の譲受代金九五〇万円に対する約定の割合による金二八万五〇〇〇円、(3) 右(三)の土地上の建物賃借権の譲受代金二〇〇万円に対する約定の割合による金六万円、及び、(4) 右(二)の土地の売渡代金五三三万円に対する約定の割合による金一五万九九〇〇円以上合計金九三万一四七〇円の支払を求める。

六  控訴人等主張の仲介依頼契約合意解除の事実は否認する。

(控訴人等の主張)

一  被控訴人の右主張事実中、控訴人黒川が被控訴人主張のように仲介の依頼をしたこと、控訴人黒川と控訴人飯田との間において被控訴人主張の日に本件(一)ないし(三)の土地について代金一四二一万九〇〇〇円で売買契約が成立したこと及び控訴人飯田が被控訴人に対しその主張のように報酬として金三五万円を支払う旨約したことは認めるが、控訴人黒川が被控訴人に対し仲介報酬として取引額の三パーセントを支払う旨約したことは否認する。その余は争う。

控訴人黒川は昭和四一年九月頃被控訴人に対し仲介報酬として取引額の二パーセントを支払う旨約していたのである。

二  控訴人黒川及び控訴人飯田は昭和四一年一二月三一日頃被控訴人との間において本件(一)ないし(四)の土地売買に関し仲介依頼契約を合意解除したものであつて、被控訴人は右同日かぎり右土地売買の仲介から一切手を引いたものである。

しかして、昭和四二年二月二四日控訴人らの間において成立した本件(一)ないし(三)の土地売買契約は右合意解除後成立したものであつて、被控訴人の仲介行為とは何らの因果関係も存しない。

三  仮りに、控訴人黒川に被控訴人主張のような仲介報酬支払義務があるとしても、昭和四二年二月二七日控訴人黒川と池田サダエとの間で成立した本件(一)、(二)の土地賃借権を金九五〇万円で売買する契約及び(二)の土地所有権を金五三三万円で売買する契約は実は池田サダエが(二)の土地所有権(賃借権の価格を差引いて)を買受け、控訴人黒川が(一)の土地の賃借権を買受けるという一個の契約であるから、これについての仲介報酬は現実に支払われた差領金四一七万円を基礎として算定すべきである。

(証拠)(省略)

理由

一(控訴人黒川に対する請求について)

被控訴人が三井不動産という名称で宅地建物取引業を営む者であり、控訴人飯田がもと本件(一)ないし(四)の土地((三)及び(四)の土地については持分一二分の五の共有権)を所有し、池田サダエがもと本件(一)、(二)の土地を賃借し、飯田元次がもと本件(三)の土地上の建物を控訴人飯田から賃借し、武早美がもと本件(四)の土地上の建物を同控訴人から賃借していたものであること、控訴人黒川が昭和四一年九月二〇日頃被控訴人に対し右(一)ないし(四)の土地の所有権、(一)及び(二)の土地の賃借権(三)及び(四)の地上建物の賃借権の譲受方につき仲介を依頼したこと、被控訴人が右依頼に基き直ちに控訴人飯田、池田サダエ、飯田元次及び武隼美ら土地賃借権者又は地上建物の賃借権者と交渉を重ねたこと、昭和四二年二月二四日控訴人黒川と控訴人飯田との間において本件(一)ないし(三)の土地を代金一四二一万九〇〇〇円で売買する旨の契約が成立し(成立に争いのない甲第一号証の三及び原審証人泉秀次郎の証言によると、右契約は泉秀次郎が控訴人飯田を代理してしたものであり、(三)の土地については泉秀次郎が他の共有者である関寺和子及び関寺章八をも代理して右売買契約を締結したものであることが明らかである)、同年二月二五日控訴人黒川と飯田元次との間において本件(三)の地上建物の賃借権を金二〇〇万円で譲渡する旨の契約が成立したことはいずれも当事者間に争いがなく、原審証人照沼康男、同畠山正美の証言及び原審での被控訴本人尋問の結果(第一回)によると、控訴人黒川は昭和四二年二月二七日池田サダエとの間で本件(一)、(二)の土地の賃借権を金九五〇万円で買受け、同時に(二)の土地の所有権を金五三三万円で売渡す旨の契約を結んだことが認められる(成立に争いのない甲第七、第八号証には、控訴人黒川と表示さるべき契約当事者欄に株式会社日隆とあるが、右控訴本人尋問の結果によれば、契約当事者は実際は控訴人黒川であるが形式上株式会社日隆なる名義を使用したものであることを認めることができるから、右甲第七、第八号証の記載は必ずしも右認定を覆すものとはいい難い。)。

そこで、右に成立した各契約が控訴人の仲介によるものかどうかについて判断する。

成立に争いのない甲第二ないし第五号証、同第七、第八号証、乙第一号証、同第二号証の一、二、原審証人畠山正美の証言により成立を認め得る甲第六号証、原審証人照沼康男の証言により成立を認め得る同第九号証、右肩上部分に記載された日付を除くその余の部分の成立に争いがなく、当審証人泉秀次郎の証言により右日付部分の記載の正確性を認め得る同第一〇号証、原審証人青山政夫の証言により成立を認め得る乙第三、四号証、原審証人照沼康男、畠山正美、青山政夫(後記措信しない部分を除く)、原審及び当審証人泉秀次郎(後記措信しない部分を除く)の証言、原審での被控訴人並びに原審及び当審での控訴人黒川隆(後記措信しない部分を除く)各本人尋問の結果をあわせると、被控訴人は控訴人黒川から本件(一)ないし(四)の土地をレストラン又はドライブインの敷地として使用できるよう更地として取得することの仲介依頼を受け、直ちに右各土地の所有者、賃借権者その他の権利関係を調査し、昭和四一年九月頃から土地所有者控訴人飯田、関寺和子、関寺章八及び同人らの代理人泉秀次郎、本件(一)、(二)の土地の賃借権者池田サダエ及びその代理人畠山正美、(三)、(四)の土地上の建物の賃借権者飯田元次及びその代理人藤本猛並びに武隼美らと鋭意折衝を兼ね、まず昭和四一年一一月二二日控訴人黒川からあらかじめ本件(一)ないし(四)の土地を実測面積による価額で買受ける旨の承諾を取り、次いで同月二八日控訴人飯田、関寺和子及び関寺章八の代理人泉秀次郎から被控訴人の仲介により本件(一)、(二)の土地は坪当り金六万円で、本件(三)、(四)の土地は坪当り金一二万円で売却する旨の承諾を得、かつ売却成功の暁には報酬として金三五万円を支払う旨の約定を取付け、さらに同年一二月一日本件(一)、(二)の土地の賃借権者池田サダエから若し買主が右(一)、(二)の土地のうち不要部分を売却するときは優先的に同女に対しこれを坪当り金一三万円で売渡すという約定のもと右(一)、(二)の土地の賃借権を、(一)の土地については坪当り金一二万九〇〇〇円で、(二)の土地については坪当り金九万円で売渡し、地上に存する建物を収去する旨の承諾を得、また同月一九日右(三)の土地上の建物の賃借人飯田元次から控訴人飯田から賃借中の建物を金二〇〇万円の立退料の全額の支払と同時に明渡す旨の承諾を得たこと、しかして被控訴人は昭和四一年一二月三一日控訴人黒川の指示に基き銀行員に手附金となるべき金四〇〇万円の銀行小切手を持参させ、土地所有者の代理人泉秀次郎と売買価額の最終的な調整に入り、同人が提示した金一五五〇万円の価額を今少し低減するよう求めたが、同人の承諾するところとならず、最終的な契約締結の交渉は右(一)ないし(四)の土地面積の実測後改めて面額を協定して行うこととしたこと、しかして、被控訴人は翌昭和四二年一月二三日被控訴人方の従業員照沼康男とともに泉秀次郎のした測量実施に立会い、同人から甲第一〇号証の図面の交付を受け、同月末頃右図面に基き控訴人黒川と買受価額について下相談をし、本件(一)ないし(三)の土地については買受価額を凡そ金一四〇〇万円とすることとしたこと、ところが、控訴人黒川はその頃すでに被控訴人に本件(一)ないし(四)の土地取得の仲介を依頼してあるにも拘わらず自己の使用人青山政夫をして泉秀次郎、池田サダエ、飯田元次及び武隼美らと右土地取得の折衝させ、その結果昭和四二年二月二四日控訴人飯田、関寺和子及び関寺章八の代理人泉秀次郎との間で本件(一)ないし(三)の土地を代金一四二一万九〇〇〇円で買受ける旨の契約を結び、次いで翌同月二五日飯田元次との間で立退料金二〇〇万円を支払うことの条件で同年三月二〇日かぎり本件(三)の地上の建物を明渡す旨の約定を結んだこと、しかして、池田サダエからする借地権譲受については同人の代理人である畠山正美が被控訴人の仲介による取引であるとして被控訴人を除外した控訴人黒川との直接取引に応じなかつたため、結局控訴人黒川は同月二七日被控訴人の仲介により池田サダエとの間で同女から本件(一)、(二)の土地の借地権を代金九五〇万円で買受け、同時に同女に対し本件(二)の土地を代金五三三万円で売渡す旨の契約を結んだことが認められる。右認定に反する。原審証人青山政夫、原審及び当審証人泉秀次郎の証言部分並びに原審及び当審での控訴人黒川隆本人尋問の結果の一部はいずれも措信することができない。

右認定の事実によると、控訴人黒川と池田サダエとの間において締結された本件(一)、(二)の土地の借地権及び(二)の土地の所有権の売買契約は被控訴人の仲介によつて成立したものであることが明らかであるが、控訴人黒川と控訴人飯田、関寺和子、関寺章八との間において締結された本件(一)ないし(三)の土地の売買契約及び控訴人黒川と飯田元次との間において締結された本件(三)の土地上の建物明渡に関する契約はいずれも直接被控訴人の仲介によつて成立したものではないといわざるを得ない。しかし、右認定の事実をあわせ考えると、控訴人黒川と控訴人飯田らとの間において成立した本件(一)ないし(三)の土地売買契約は成立時期において被控訴人の仲介斡旋活動と時期を接しているのみならず、その価額においても被控訴人の仲介活動によりあと僅かの差を残すのみで間もなく合意に達すべき状態であつたところ、被控訴人が控訴人黒川と下相談した価額を上廻る価額で成立しているのであるから、控訴人黒川及び控訴人飯田ら契約当事者双方は被控訴人の仲介によつて間もなく契約の成立に至るべきことを熟知しながら、被控訴人の仲介による契約の成立を避けるため被控訴人を排除して直接当事者間で契約を成立させたものであつて、控訴人黒川及び控訴人飯田は被控訴人の仲介による土地売買契約の成立を妨げる故意があつたものと推認すべく、さらにまた控訴人黒川と飯田元次との間に成立した本件(三)の土地上の建物の明渡契約も成立時期において被控訴人のした仲介斡旋活動と接近していることはもちろんのこと、被控訴人の仲介活動によつて飯田元次の承諾した明渡契約の内容と全く同一の内容から成つているのであつて、これまた控訴人黒川は被控訴人の仲介による右建物明渡契約の成立を故意に妨げたものといつてしかるべきである。

控訴人らは昭和四一年一二月三一日被控訴人との間において仲介依頼契約を合意解除したと主張し、原審証人松本徹、青山政夫、原審及び当審証人泉秀次郎の証言並びに原審及び当審での控訴人黒川隆本人尋問の結果中には右主張に沿う部分があり、控訴人黒川の代理人青山政夫と控訴人飯田らの代理人泉秀次郎は昭和四二年一月末頃から被控訴人の仲介とは何ら関係なく新らたに土地売買の交渉をしたものであるというのであるが、右認定の用に供した証拠と対比して措信し難く、他にこれを認めるに足りる証拠は存しない。控訴人らの右解除の主張は失当であつて採用に値しない。

しかして原審での被控訴本人尋問の結果に本件弁論の全趣旨をあわせると、控訴人黒川は被控訴人に対し本件(一)ないし(四)の土地を更地として取得することの仲介依頼をするに当りその取得契約の成立を停止条件として取引価額の三パーセントに当る報酬を支払うことを約したものであることが認められる(右報酬の約定が取引価額の二パーセントであつたとする原審及び当審での控訴本人尋問の結果は措信しない)。従つて、控訴人黒川は契約成立という停止条件の成就を妨げたものであるから、被控訴人は停止条件を成就したものと看做し得べく、控訴人黒川に対しての仲介による契約成立の報酬として(1)控訴人飯田らとの間における本件(一)ないし(三)の土地売買価額金一四二一万九〇〇〇円に対する約定の三パーセントに当る金四二万六五〇〇円、(2)飯田元次との間における本件(三)の土地上の建物の明渡価額金二〇〇万円の同じく三パーセントに当る金六万円の支払を求め得るものといわなければならない。尤も、(3)被控訴人の仲介によつて成立した控訴人黒川と池田サダエとの間における本件(一)、(二)の土地の借地権の売買及び(二)の土地の所有権の売買は実質上は控訴人黒川が(一)の土地の借地権を取得しこれを更地として使用することのみを目的とした契約であり、宅地建物取引業法第一七条建設省告示昭和四〇年第一一七号の趣旨及び本件弁論の全趣旨によると、不動産業者である被控訴人の受くべき報酬は実取引価額によつてこれを定めるのが相当であると解されるから、被控訴人は控訴人黒川に対し池田サダエとの間における本件(一)、(二)の土地の借地権の売買と(二)の土地所有権の売買との差額である実取引額金四一七万円に対する約定の三パーセントに当る金一二万五一〇〇円の支払を求め得べきであるといわなければならない。

そうとすると、前示認定の事実によれば被控訴人のした本件仲介斡施活動は被控訴人が営業としてした商行為であること多言を要しないところであるから、控訴人黒川は被控訴人に対し右(1)ないし(3)の各報酬の合計金六一万一六〇〇円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな昭和四二年八月二五日から支払ずみまで商事法定利率年六分の遅延損害金を支払うべき義務があることが明らかである。よつて、被控訴人の控訴人黒川に対する本訴請求はこれを右認定の限度において正当として認容し、その余の請求は失当として棄却すべきである。

二(控訴人飯田に対する請求について)

控訴人飯田が昭和四一年一一月二八日頃被控訴人に対し共有者の持分をも含め本件(一)ないし(四)の土地の売買契約が成立したときは報酬として金三五万円を支払う旨約したことは当事者間に争いがない。

しかして、前段の説示によれば、控訴人飯田もまた被控訴人に対し右土地売却の仲介を依頼したものというべきであるが、被控訴人との間において右仲介依頼を合意解除したものとは認められず、売買契約の成立という報酬請求権発生のための停止条件の成就を妨害したものであるから、被控訴人は停止条件を成就したものと看做し得べく、控訴人飯田に対しその仲介による契約成立の報酬を請求し得るものといわなければならない。しかるところ、控訴人飯田と控訴人黒川との間において成立したのは右(一)ないし(四)の土地全部の売買契約ではなく、そのうち(四)の土地を除く(一)ないし(三)の土地の売買契約であるから、被控訴人は控訴人飯田に対し約定の報酬額金三五万円から(四)の土地に相当する報酬を面積比で差引き金二八万円(円位以下四捨五入)の支払を求め得るものと解するのが相当である。

そうとすると、被控訴人のした本件仲介斡施活動は被控訴人が営業としてした商行為であることこれまた前段認定の事実からして明らかであるから、控訴人飯田は被控訴人に対し右報酬金二八万円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日であることが記録に徴し明らかな昭和四二年八月二五日から支払ずみまで商事法定利率年六分の遅延損害金の支出義務があるものというべきである。よつて、被控訴人の控訴人黒川に対する請求はこれを右認定の限度において正当として認容し、その余の請求は失当として棄却すべきものである。

三(結び)

しからば、原判決中控訴人黒川に関する部分は右一の判断と異るのでこれを本判決主文第一項(一)、(二)のとおりに変更することとし、原判決中控訴人飯田に関する部分は前段二の判断と趣旨を同じくし、同控訴人の本件控訴は理由がないのでこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条第九二条第九三条第九六条を、仮執行の宣言について同法第一九六条を各適用して主文のとおり判決する。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例